スタッフ インタビュー
STAFF INTERVIEW
日本の技術力に魅かれて
異文化コラボレーションは貴重な体験

アフダル ジクラ アウリア | BIMエンジニア
日本で働いてみたい
建築や土木の技術に興味を持ったのは、高校生の頃でした。当時はテレビ等で世界中の高層建築物や、橋・駅などのインフラ施設といった大型構造物を目にして、将来は人の生活をサポートできるような施設を造る仕事に携わりたいと思い、大学では土木工学*を専攻しました。
大学を卒業後は、インターンをした経験から日系のゼネコンに就職し、ジャカルタで施工管理業務を担当していました。そこで日本の技術力の高さに感銘を受け、日本で働いてみたいと思うようになりました。ですがまだその頃は日本語を話すことはできず、業務は英語で行っていました。
その後、「日本で建築の仕事に就こう」と一念発起し、日本語を勉強しながら日本の建設会社などにアプローチをして、就職の機会を探していました。数か月後にゼネコンの採用が決まり、来日して大阪で施工管理の仕事に従事しました。
BSIのことを知ったのは、大学時代の同級生が構造エンジニアとして東京で働いていることを共通の友人に聞いたことがきっかけでした。日本で同級生が働いているとは全く知らず、連絡を取ってお互いの近況についてやり取りしている中で、BSIの様子やBIMエンジニアを募集していることを知りました。
当時、施工管理の現場でBIMの必要性を感じて伝えてはいたのですが、自分がBIM業務に携わる機会は難しい状況でした。BIM業務に従事してみたかったことと、BSIの様子を同級生からきいて、自分に向いている気がしたこともあり、採用試験を受けてBSIに入社することとなりました。

ジャカルタでは建築現場で管理業務に従事していた
イチからBIMを学ぶ
BIM業務に従事したくて入社しましたが、BIMソフトは全く経験がありませんでした。CADソフトは学生時代や前職でも使っていたので、まずはCADで2次元の図面作図を担当しながら、構造図を学びました。現在ではBIMのソフトであるRevitの操作方法や知識を身付けている最中です。BIMソフトは多機能で、難しいと感じます。壁にぶつかった時には、社内の先輩方に相談したり、自分で調べたりしながら、解決策をみつけています。
最初に自分の担当プロジェクトとして図面一式を任されたのは、逗子市の住宅プロジェクト『山の根の躯体』でした。 2024年に竣工し、オープンハウスで見学させてもらいました。根本的にものづくりが好きですし、かつジャカルタと大阪で施工管理の経験もあるので、自分が担当したプロジェクトが実際に建った様子を目にするのは、やはり嬉しいです。
また、最近携わったプロジェクトでは、私がBIMを担当しました。社内の構造エンジニアが一貫構造計算で作成した計算用データと連携して、BIMソフトでモデルを作成しました。これが私がBIMを主担当として遂行した初めてのプロジェクトであり、自分自身にとって大きな節目となりました。入社してから2年以上が経ち、少しずつ積み重ねてきた経験が形になって、「ようやくここまで成長できた」と実感しています。

図面を担当した『山の根の躯体』
(建築設計:稲山貴則建築設計事務所)
異文化コラボレーション
BSIでは2024年に、韓国企業ChangSoft I&Iとの合弁会社「株式会社BnB Solutions」を設立して、ソフトウェア『BuilderHub-Q/JP』を発売しました。RC造の構造図CADデータをこのソフトに読み込ませることでBIMモデルが自動生成できます。韓国では実績のあるソフトなので、この技術を日本の基準に合うように協働で開発をしています。
この業務はBIMが関連するため、BSIのBIMチームみんなで取り組んでいます。『BuilderHub-Q/JP』の操作をいち早く覚え、ソフトウェアを検証し、開発すべきポイントを韓国技術者チームと共有するなど、BSIの設計業務と平行して担当しています。また、社外向けセミナーで代表の大原のプレゼンに合わせてソフトウェアのデモンストレーションを担当したり、韓国出張に同行したり、新しいことを経験する機会にもなっています。
日本、韓国そしてインドネシアと、さまざまなバックグラウンドの人達がひとつの目的に向かって協働することは“異文化コラボレーション”であり、たくさんの学びがある貴重な体験だと感じます。そして私にとっては日本で働くこと自体が、さまざまなプロジェクトを通して、仕事の進め方やソフトウェアの知識など幅広い経験を積むことができ、自分を成長させる大切な機会です。

韓国出張でソウルにて
*注:海外の大学では建築学は意匠系の学問で、構造系は建築と土木に関することを学ぶCivil engineering (土木工学)となる。
(2025年4月、
インタビュー担当:勝本恵子/ウィーブファクトリー)